表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/148

第52話 「最初に守るもの」

外に出る。


 空気が違う。


 さっきよりも。


 “濃い”。


「……増えてるな」


 蓮斗が言う。


 影。


 さっきより多い。


 動きも速い。


「……急ぐぞ」


 足を止めない。


 向かう先は決まっている。


 自宅。


 妹のいる場所。


「……距離は」


「徒歩で二十分」


 白峰が答える。


「短いな」


「だが」


「安全ではない」


 分かっている。


 だから走る。


 最短で。


 最速で。


 途中。


 また人が見える。


 逃げている。


 助けを求めている。


「……っ」


 足が、少しだけ止まりかける。


「……今は行け」


 祖父の声。


 強い。


 背中を押す。


 歯を食いしばる。


 走る。


 優先順位。


 分かっている。


 今は。


 妹だ。


 それが。


 最初。


 その先に。


 全員がいる。


「……見えた!」


 蓮斗が言う。


 自宅。


 でも。


 壊れている。


 壁。


 窓。


 崩れている。


「……嘘だろ」


 嫌な予感。


 でも。


 止まらない。


 中へ。


「――!」


 影。


 二体。


 動く。


 速い。


 でも。


 迷わない。


 斬る。


 叩く。


 崩す。


 一瞬。


 終わる。


「……妹!」


 叫ぶ。


 返事はない。


 奥へ。


 部屋。


 扉を開ける。


 そして。


「……にいちゃん?」


 声。


 小さい。


 でも。


 確実に。


「……っ!」


 いた。


 無事。


 震えている。


 でも。


 生きている。


「……大丈夫か!」


 駆け寄る。


 抱き寄せる。


「……こわかった」


 その一言。


 全部が軽くなる。


「……もう大丈夫だ」


「迎えに来た」


 玲奈が、静かに言う。


「……いく」


 ぴーちゃんが、優しく光る。


「……だいじょうぶ」


 妹が、少しだけ落ち着く。


「……うん」


 立ち上がる。


 連れていく。


 帰る場所へ。


 守る場所へ。


 その時。


 外から音。


 多い。


 近い。


「……来てるな」


 蓮斗が言う。


「急ぐぞ」


 全員が動く。


 戻る。


 ダンジョンへ。


 守る場所へ。


 でも。


 これで終わりじゃない。


 まだいる。


 近所の人。


 助けを求めていた人たち。


 全部。


 守ると決めた。


 だから。


 止まらない。


 進む。


 次へ。


 その先へ。


 最初に守るものは、もう決まっている。


 そして。


 その先も、全部守る。


 それが。


 俺の選択だった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ