第51話 「帰る場所」
走る。
止まらない。
さっきまでの世界とは違う。
空気が、重い。
「……急げ!」
蓮斗が叫ぶ。
全員が走る。
ダンジョンへ。
拠点へ。
守る場所へ。
でも。
途中で見える。
人。
逃げている。
追われている。
影に。
「……っ」
玲奈が止まりかける。
「……だめ」
ぴーちゃんが強く震える。
「……いかないと」
その言葉。
分かる。
助けたい。
でも。
今は。
「……行くぞ」
歯を食いしばって言う。
止まらない。
走る。
今止まったら。
守れるものも守れない。
それが分かっているから。
でも。
胸が重い。
「……あとで戻る」
小さく呟く。
自分に。
言い聞かせるように。
走る。
やっと見える。
入口。
ダンジョン。
「……入るぞ!」
中へ。
空気が変わる。
安全。
外とは違う。
「……ここなら」
蓮斗が息を吐く。
「……まだ大丈夫だな」
白峰が言う。
「一時的にはな」
玲奈が、すぐに言う。
「……行く」
「……ああ」
止まらない。
ここは通過点。
守る場所。
でも。
まだ空だ。
誰もいない。
だから。
取りに行く。
家族を。
仲間を。
全員。
そのために。
準備する。
「……ルート決めるぞ」
白峰が言う。
「分散か、同行か」
蓮斗が言う。
「分かれた方が早ぇだろ」
祖父が言う。
「だが危険だ」
玲奈が、低く言う。
「……一緒」
ぴーちゃんが、強く頷く。
「……いっしょ!」
少しだけ、間。
「……一緒に行く」
そう言う。
「……効率は落ちるぞ」
白峰が言う。
「それでもいい」
「……理由は?」
「……全員守るからだ」
その一言。
蓮斗が笑う。
「相変わらずだな」
祖父が言う。
「いい」
玲奈が、静かに頷く。
「……いく」
ぴーちゃんが、強く光る。
「……まもる!」
決まった。
全員で行く。
全員で守る。
効率より。
確実性。
それが。
今の選択。
「……行くぞ」
もう一度。
外へ。
危険な場所へ。
でも。
迷いはない。
守ると決めたから。
そのために。
進む。
この世界で。
生き残るために。
帰る場所はある。
だから。
迎えに行く。
それが。
俺たちの戦いだった。




