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第47話 「削られる時間」

 走る。


 でも。


 さっきより遅い。


 足が重い。


 呼吸が乱れる。


「……くそ」


 蓮斗が舌打ちする。


「ペース落ちてるな」


 白峰が冷静に言う。


「当然だ」


「連続行動の限界に近い」


 玲奈が、低く言う。


「……きつい」


 ぴーちゃんが、弱く揺れる。


「……つかれた」


 祖父が言う。


「だが止まるな」


 その一言。


 全員が無理やり動く。


 分かっている。


 止まったら終わる。


 でも。


 身体は正直だ。


 鈍る。


 遅れる。


 その時。


「……前!」


 玲奈の声。


 ダンジョン入口。


 すぐ入る。


 でも。


 判断が、遅れる。


 一瞬だけ。


 ほんの一瞬。


 それだけで。


「――!」


 影が先に動く。


 速い。


 反応が遅れる。


「っ!」


 蓮斗が弾かれる。


「……くそ!」


 体勢が崩れる。


 いつもなら。


 問題ない。


 でも。


 今は違う。


 連携が遅れる。


「……合わせろ!」


 白峰が叫ぶ。


 動く。


 でも。


 ズレる。


 一歩。


 ほんの少し。


 それだけで。


 噛み合わない。


「……ちっ!」


 玲奈が斬る。


 でも。


 深く入らない。


「……浅い」


 ぴーちゃんが光る。


「……まにあわない」


 回復が遅れる。


 削られる。


 確実に。


「……やばいな」


 蓮斗が立ち上がる。


「崩れてる」


 その通りだった。


 今までの強さ。


 連携。


 全部。


 維持できていない。


 疲労。


 焦り。


 判断の遅れ。


 全部が。


 削ってくる。


「……落ち着け」


 祖父の声。


「……無理だろ」


「無理でもやれ」


 短い。


 でも。


 効く。


 息を整える。


 一瞬だけ。


 集中する。


 影を見る。


 動きを読む。


 合わせる。


「……今だ!」


 蓮斗が叩く。


 玲奈が入る。


 白峰が導く。


 繋ぐ。


 ズレていたものが。


 戻る。


 少しだけ。


 でも。


 足りない。


「……まだだ!」


 押す。


 でも。


 ギリギリ。


 余裕がない。


 そのまま。


 なんとか。


 倒す。


 静寂。


「……はぁ……」


 蓮斗が膝をつく。


「……きついな」


 白峰が言う。


「効率が落ちている」


 玲奈が、低く言う。


「……もたない」


 ぴーちゃんが、弱く震える。


「……いや」


 祖父が言う。


「当然だ」


「限界は来る」


 その言葉。


 重い。


 分かっている。


 このままじゃ。


 持たない。


 でも。


 止まれない。


 時間がない。


 分からないけど。


 確実に。


 削られている。


 “余裕”が。


 そして。


 “時間”が。


「……どうする」


 蓮斗が言う。


 答えは出ている。


「……続ける」


 それしかない。


 全員が頷く。


 立ち上がる。


 また走る。


 次のダンジョンへ。


 足は重い。


 でも。


 止まらない。


 止まれない。


 削られても。


 残っているものを。


 全部使って。


 進む。


 時間は、減っている。


 でも。


 止まる理由にはならない。


 それが。


 今の戦いだった。



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