第46話 「間に合うか」
走る。
止まらない。
息が上がる。
でも。
気にしていられない。
「……次どこだ!」
蓮斗が叫ぶ。
「前方三百メートル」
白峰が即答する。
「未攻略反応あり」
「行くぞ!」
速度を上げる。
地上は、崩れている。
車。
瓦礫。
倒れた建物。
でも。
全部、無視する。
時間がない。
分からない。
いつ来るか。
でも。
確実に近づいている。
「……ここだ!」
入口。
迷わない。
入る。
暗い。
でも。
慣れている。
「……三体」
玲奈が言う。
「処理する」
動く。
速い。
影が反応する。
でも。
遅い。
玲奈が斬る。
崩れる。
蓮斗が叩く。
止まる。
白峰が指示する。
繋ぐ。
一瞬。
終わる。
「……次!」
止まらない。
奥へ。
因子。
回収。
そのまま外へ。
また走る。
次。
次。
繰り返す。
ダンジョン。
一つ。
二つ。
三つ。
数が増える。
でも。
足りない。
「……まだだ!」
蓮斗が叫ぶ。
息が荒い。
でも。
止まらない。
玲奈も。
白峰も。
祖父も。
限界に近い。
でも。
止まれない。
「……あといくつだ」
「……足りない」
白峰の答え。
それだけで十分だった。
足りない。
まだ。
全然。
その時。
空気が、変わる。
「……っ」
玲奈が止まる。
ぴーちゃんが、強く震える。
「……くる」
その一言。
全員が止まる。
周囲を見る。
何もない。
でも。
分かる。
“近い”。
「……まだだろ」
蓮斗が言う。
でも。
声が、震えている。
祖父が、低く言う。
「分からん」
「だが」
「近いな」
白峰が言う。
「時間的猶予は少ない」
つまり。
間に合うか分からない。
でも。
やるしかない。
「……行くぞ」
もう一度、走る。
次のダンジョンへ。
足が重い。
呼吸が苦しい。
でも。
止まらない。
守るために。
全員を。
その覚悟があるから。
走る。
限界まで。
その先まで。
間に合うか。
分からない。
でも。
止まったら。
終わる。
だから。
進む。
間に合う保証はない。
でも。
間に合わせるしかない。
それが。
今の戦いだった。




