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第456話「また明日」
夕暮れ。
神城家の縁側には、柔らかな茜色が差し込んでいた。
夕飯を終えたあと、家族は思い思いに庭で涼んでいる。
虫の音が響き、風鈴が時折小さく鳴る。
ぴーちゃんは眠そうに悠真の肩へ寄りかかり、美月は湯飲みを両手で包みながら空を見上げていた。
玲奈は縁側に座り、静かな風を胸いっぱいに吸い込む。
「いい風ね。」
その一言に、みんなが穏やかに頷いた。
遠くでは、見回りを終えた人たちが家路についている。
家々の灯りが一つ、また一つと灯り始め、町全体が静かな夜へ包まれていった。
悠真は白影の浮かぶ空を見上げる。
その姿は何も語らない。
世界病も消えてはいない。
それでも、不思議と恐れはなかった。
恐怖よりも、この場所には暮らしがあった。
笑い声があり、食卓があり、帰る家がある。
「お兄ちゃん。」
ぴーちゃんが小さく呟く。
「また明日も、一緒?」
悠真は優しく微笑み、その小さな頭を撫でた。
「ああ。」
短い返事だった。
けれど、その一言だけで十分だった。
明日も朝が来る。
畑へ行き、家を直し、ご飯を食べ、笑い合う。
そんな何気ない日々を、これからも積み重ねていく。
夜風が神城家を静かに包み込み、今日という一日が穏やかに幕を閉じていった。
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