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第455話「季節は巡る」
朝。
神城家の畑では、朝露をまとった野菜が静かに陽の光を受けていた。
悠真は鍬を肩に担ぎ、土を踏みしめる。
その後ろでは、ぴーちゃんが小さなじょうろを抱え、一株ずつ丁寧に水をかけていた。
「お兄ちゃん、これで大きくなる?」
「なるよ。」
悠真は笑って土を軽くならした。
「急には育たない。でも毎日少しずつ大きくなる。」
ぴーちゃんは何度も頷きながら、水を与え続ける。
畑の向こうでは、美月が収穫した野菜を籠へ並べ、玲奈は洗濯物を風に揺らしていた。
恒一は椅子に腰掛け、その穏やかな光景を静かに見守っている。
誰も急がない。
世界が変わっても、季節は変わらず巡ってくる。
芽は伸び、花は咲き、実は色づく。
人もまた、その流れの中で今日を積み重ねていく。
悠真は畑の端に立ち、一面に広がる緑を見渡した。
あの日、自分たちが守ろうと決めたものは、この景色だった。
大きな勝利ではない。
誰かに語り継がれる伝説でもない。
明日も畑に水をやれること。
明日もみんなで食卓を囲めること。
その積み重ねが、この世界で一番大切だった。
朝風が優しく畑を吹き抜け、小さな苗が静かに揺れていた。
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