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第454話「変わらない帰り道」
夕暮れ。
仕事を終えた悠真は、工具箱を片手に神城家への坂道を歩いていた。
今日直したのは柵だけではない。
井戸の滑車も。
納屋の扉も。
子どもたちが遊ぶ広場の古いベンチも。
誰かが困っている場所へ行き、手を動かす。
それが今の自分の日常だった。
「お兄ちゃーん!」
坂の下からぴーちゃんが元気よく駆けてくる。
その後ろには美月もいた。
「迎えに来ちゃった。」
少し照れくさそうに笑う。
悠真も思わず笑みを返した。
「ありがとう。」
三人は並んで歩き始める。
夕焼けが長い影を作り、家々の窓には温かな灯りが一つ、また一つとともっていく。
どこからか夕飯の匂いが流れてきた。
味噌を煮る香り。
焼き魚の香ばしい匂い。
誰かの笑い声。
子どもの泣き声。
その全部が、この町の生きている証だった。
「今日はね。」
ぴーちゃんが嬉しそうに話し始める。
「お花が咲いたの!」
「明日、一緒に見ようか。」
「うん!」
小さな約束が交わされる。
それだけで十分だった。
神城家の門が見えてくる。
美月が玄関の戸を開けると、恒一と玲奈が笑顔で迎えてくれた。
「おかえり。」
「ただいま。」
その何気ない言葉が、この世界で一番守りたかったものだった。
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