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第452話「受け継ぐ灯」
夜。
神城家の居間では、小さな明かりが静かに揺れていた。
食事を終えたあと、それぞれが思い思いの時間を過ごしている。
ぴーちゃんは絵本を読み、美月は繕い物をし、蓮斗は道具の手入れをしていた。
恒一は縁側へ腰を下ろし、湯飲みを静かに傾ける。
そこへ悠真が隣へ座った。
虫の音だけが夜を満たしている。
「静かだな。」
恒一がぽつりと呟く。
「はい。」
「昔は、この静けさが当たり前だった。」
少し間を置いて続けた。
「そして、人は当たり前を一番忘れやすい。」
悠真は何も言わず耳を傾ける。
「だから忘れるな。」
恒一は夜空を見上げた。
「今日という日は、誰かが昨日を守ってくれたからある。」
庭では風鈴が小さく鳴った。
「お前も、誰かの明日を守ってやれ。」
その言葉は命令ではなかった。
願いでもない。
長い人生を歩いてきた一人の老人が、静かに次の世代へ渡した灯火だった。
悠真は深く頭を下げる。
「はい。」
それだけで十分だった。
夜空には無数の星が瞬いている。
神城家の灯りもまた、その星の一つのように、この世界で静かに輝き続けていた。
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