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第44話 「三つ目の場所」


動く。


 止まらない。


 目的は決まっている。


 ダンジョンを取る。


 それだけ。


「……どこ行くんだ?」


 蓮斗が聞く。


 白峰が答える。


「近い場所に一つ」


「未攻略の反応がある」


「……距離は?」


「歩いて一時間弱」


「ちょうどいいな」


 祖父が言う。


「遠すぎず、近すぎず」


 玲奈が、前を見る。


「……行く」


 ぴーちゃんが、小さく揺れる。


「……いっしょ」


 進む。


 地上。


 崩れた建物。


 人の気配は、ほとんどない。


「……静かすぎるな」


 蓮斗が言う。


「……逃げたか」


「あるいは」


 白峰が言う。


「ダンジョンに向かったか」


 どちらでもいい。


 今は。


 先に進むだけだ。


 しばらくして。


 見えてくる。


 入口。


 暗い穴。


 でも。


 分かる。


 ダンジョン。


「……ここか」


 蓮斗が言う。


 白峰が頷く。


「間違いない」


 玲奈が、低く言う。


「……中、いる」


 ぴーちゃんが震える。


「……いや」


 その反応。


 少しだけ強い。


「……数は?」


「……三」


 三体。


 少ない。


 でも。


 油断はできない。


「……行くぞ」


 全員が頷く。


 入る。


 暗い。


 でも。


 すぐに慣れる。


 奥。


 影。


 三体。


 でも。


 今までと違う。


 “普通”。


「……いけるな」


 蓮斗が笑う。


 構える。


 動く。


 速い。


 でも。


 対応できる。


 玲奈が先に入る。


 当てる。


 崩れる。


 蓮斗が叩く。


 止まる。


 白峰が指示する。


 繋ぐ。


 全部。


 スムーズ。


 さっきまでとは違う。


 圧倒的に。


「……弱い」


 玲奈が言う。


 その通りだった。


 三体。


 すぐに。


 止まる。


 静寂。


「……終わりか」


 蓮斗が言う。


 白峰が確認する。


「反応なし」


 祖父が言う。


「奥だ」


 進む。


 そして。


 あった。


 中心。


 光。


 因子。


 でも。


 さっきと違う。


 普通。


「……これで」


「三つ目か」


 蓮斗が言う。


 白峰が言う。


「合計十五人」


「まだ足りないな」


 玲奈が、ぽつりと言う。


「……足りない」


 ぴーちゃんが、震える。


「……いや」


 俺は、光を見る。


 因子。


 触れる。


 でも。


 使わない。


 そのまま。


 回収する。


「……これで」


「少しは守れる」


 でも。


 分かっている。


 まだ足りない。


 もっと必要だ。


 でも。


 一歩進んだ。


 確実に。


 守れる範囲が増えた。


 それが。


 今は大事だ。


 祖父が言う。


「戻るぞ」


 全員が頷く。


 次の準備。


 家族を取りに行く。


 そのために。


 動く。


 ここから。


 本当の意味で。


 選択が始まる。


 守るために、場所を奪う。


 それが。


 この世界の現実だった。




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