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第443話「東京の迷走」
夜。
群馬県境、東京直轄部隊の移動指揮車。
車内に設置された臨時の観測モニターが、突如として真っ赤なエラー表示に染まった。
「本部のメインシステムから緊急通信です!」
オペレーターが悲鳴に近い声を上げた。
「東京管区の深部反応が完全停止! 隔離装置へのエネルギー流入が遮断されました! 強敵の消費による段階の加速プロセスが、すべて強制終了されています!」
指揮官は、悠真を追って歩兵を進めさせていた手を止め、画面を凝視した。
「何だと……? 群馬の拠点を制圧する前に、こちらのシステムが乗っ取られたというのか」
「いえ、乗っ取りではありません」
オペレーターの指が震える。
「世界のすべての装置が、群馬の地下の数値と完全に同期したまま、一切の入力を拒否する状態に入っています。これ以上進軍しても、データを奪うことすらできません」
彼らは世界を救う大義を掲げ、征服者としての支配権を求めていた。
だが、その支配の対象であるシステムそのものが、群馬の保つ「維持」の思想によって、完全にその門を閉ざしてしまったのだ。
銃声が響く夜の街の中で、東京の兵士たちは、自らの進むべき目的を見失い、静かに立ち尽くし始めていた。




