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第431話「九州の拒絶」
深夜。
九州管区、神城勢力西日本支部。
中央からの「群馬討伐への参戦要請」を記載した暗号電文が、通信機から次々と吐き出されていた。
指揮官はそれを手で丸め、机の上の灰皿の中に放り込んだ。
ジッポの火を近づけると、白い紙は一瞬で黒い灰へと姿を変えていった。
東京の焦燥に、付き合うつもりは毛頭なかった。
「東京の本部長は、完全に正気を失っていますね」
副官が、冷えたお茶を飲みながら言った。
「世界断面の数値を一本の直線に固定した群馬の力を、力ずくで奪えると思っている」
「あいつらは、あの青い壁の前に立ったことがないからだ」
指揮官は窓の外の暗い海を見た。
海面に浮かぶ白影は、硬化の影響を受けて、波の動きを無視して凍りついたように静止していた。
「世界病は消えない。魔王も消えない」
指揮官は呟いた。
「それを維持している神城悠真の背中を撃つような真似、黒崎の分派として絶対に許されん。俺たちは、この海の境界線を一歩も動かない。それが本家への、最大の支援だ」
九州勢力は、ただ自らの場所を守る。
それぞれの地方がそれぞれの思想で動く。
その客観的な「世界が勝手に動く感」が、潮風の中に重く漂っていた。




