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ダンジョンのある世界で生きる  作者: 竜太郎


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423/451

第423話「不穏な予兆」

朝。

拠点の正門前。


一台の黒いジープが、砂煙を上げながら検問所の前に停車した。


新しい季節に入っても、空の白影は拡大することなくそこに静止し続けていた。

だが、その静寂の裏で、東京からの有形無形の圧力は確実に強まっていた。

地上の空気は、湿気とは別の重さで不穏に張り詰めている。


ジープから降りてきたのは、東京本部の割章を胸につけた若い将校だった。

彼は出迎えた蓮斗を一瞥し、冷淡な口調で書類を差し出した。


「神城悠真殿への、本部長からの最終通告だ」

将校の声には、中央の権力を背景にした傲慢さが滲んでいた。

「群馬管区の観測データを本日中に開示せよ。さもなければ、明日を以て支援物資の供給を完全に停止し、本部の直轄部隊をこの区域に侵入させる」


蓮斗は書類を受け取り、中身を確認することなくポケットに突っ込んだ。

「お偉いさんの伝言、確かに預かった」


「返答は」


「俺が決めることじゃない」

蓮斗は顎で門の奥を指した。

「だが、俺たちのボスは、お前たちの言う『世界を救う計画』とやらに一ミリも興味はないぞ。それだけは連れ帰って報告しな」


将校は不快そうに眉をひそめ、再び車内へと戻っていった。

ジープが去った後、蓮斗は遠くの白影を見上げた。

勝手に動く世界が、この小さな拠点の日常を壊そうと、すぐ側まで迫っていた。

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