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ダンジョンのある世界で生きる  作者: 竜太郎


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422/451

第422話「七月四日の終わりに」

夜。

神城家の縁側。


七月四日の長い一日が、静かに幕を閉じようとしていた。


悠真は、ポケットの二台の無線機を畳の上に並べ、その表面を静かに見つめていた。

地下の壁から伝わってきたあの絶望の記憶。

世界病という巨大な現象の重みが、今も彼の両手に残っている気がした。


「悠真、あしたもいく?」

ぴーちゃんが縁側の端から歩いてきて、悠真の膝の上に丸くなった。


「ああ、また行くよ」

悠真はぴーちゃんの背中をそっと撫でた。

「東京が動き出した。地上が騒がしくなる前に、地下の壁をもっと安定させなきゃいけない」


世界は救われない。

魔王も消えず、侵食もそのままだ。

大長編の物語は、まだ四百二十二話。

全体の半分を過ぎたあたりで、テンポを抑えた段階的な進行が続いている。


美月が計算した食料の備蓄があり、蓮斗が研いだナイフがあり、蓮の書いた冷徹な記録がある。

誰一人として英雄にはならない。

だが、その生活維持の積み重ねこそが、この壊れゆく世界における彼らの確かな足跡だった。


白峰蓮のノートには、今日の分の事実が新しく書き込まれていた。

【七月四日・深部反応の静止を継続。地上における東京勢力の移動を確認】


窓の外で、白影が今夜も静かに世界を見守るように浮かんでいた。

悠真は静かに目を閉じ、次の降下への息を整えた。

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