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第421話「ロシアの嘲笑」
朝。
ロシア管区、地平線まで続く黒い氷原。
グラディオスは、凍りついた隔離装置の頂点に立ち、南の空を見つめていた。
東京の焦燥、群馬の維持、そして世界各地で発生している小波の振動。
そのすべてが、彼の強大な感覚を通じて、一本の糸のように繋がって感じられていた。
「東京の凡俗どもが、また無駄な動きを始めたか」
グラディオスの声には、明確な嘲笑が混ざっていた。
「世界を救うという言葉の軽さを、あいつらは理解していない」
彼の思想は悠真とは違う。
魔王が支配者ではなく、世界を維持するための管理システムであることを知った上で、彼はすべての魔王を屠り、自分がそのシステムの唯一の頂点に立とうとしていた。
強制的な統制による世界の救済。
それが彼の選んだ、征服者としての道だった。
「神城悠真、お前がその生ぬるい維持に固執するなら、東京の手によってその日常は壊されるだろう」
グラディオスは大剣を肩に担ぎ直した。
「だが、それでいい。壊れた後に、私がすべてを支配してやる」
彼の周囲に漂う圧倒的な「静かな圧」が、吹雪の方向さえも変えていくようだった。
物語の進行は段階的に、しかし確実に、二つの相反する思想の激突へと向かって進んでいた。




