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ダンジョンのある世界で生きる  作者: 竜太郎


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420/451

第420話「台湾の警戒網」

早朝。

台湾管区、湿気の立ち込める密林。


ユナは、泥にまみれた無線機のアンテナを調整していた。


東京の神城勢力本部が群馬への介入を決定したという情報は、東シナ海を越えてこの南国の監視所にも届いていた。

世界が勝手に動く感覚が、彼女の皮膚を不快に刺激する。


「ユナ、東京の部隊が動けば、全体の深部反応が再上昇するわね」

偵察員が、湿った地図を広げながら言った。


「ええ」

ユナは双眼鏡を覗いた。

「せっかく神城悠真が抑えてくれている均衡を、あそこの大人たちが台無しにする。そうなれば、次に侵食の段階が進むのはここよ」


彼女の勢力は、物語の中盤以降を担う重要な存在だ。

ここで世界が加速すれば、彼らの防衛線は準備不足のまま崩壊することになる。

英雄化も支配も望まない群馬の主人公に対し、東京の征服欲がもたらす歪みは、あまりにも大きかった。


「防衛網の配置を維持して」

ユナが静かに指示を出す。

「私たちはどちら側にもつかない。ただ、自分の場所を守る。彼が持ちこたえるのを信じるしかないわ」


霧の向こうで、巨大な隔離装置の基部が、朝の湿った光を浴びて静かに佇んでいた。

それぞれの思惑が交錯する中、世界は次の段階へのステップを、じっと堪えるように刻んでいた。

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