表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンのある世界で生きる  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
418/451

第418話「九州の海岸線」

深夜。

九州管区、激しい波が打ち寄せる沿岸部。


海面から突き出た隔離装置の基部は、潮水に洗われながらも動かずにいた。


指揮官は、防波堤の上に立ち、東京から送られてきた「群馬介入への協力要請」の書類を破り捨てた。

破片が、黒い海へと吸い込まれていく。


「本家への義理を欠くわけにはいかん」

指揮官は、隣の副官に言った。

「東京の連中は、強敵を消費すれば世界が救われると思っている。だが、俺たちは知っているはずだ。海から来る影をどれだけ斬っても、波が枯れることはないということを」


九州勢力は、常に独自の防衛線を維持してきた。

それは拡大のためではなく、ただこの島を世界断面の崩壊から守るための泥臭い抵抗だった。


「本家から指示は?」

副官が聞く。


「『ただそこにいろ』だ」

指揮官は笑った。

乾いた、しかし確かな信頼の籠もった笑いだった。

「恒一翁らしい。何もしないことが、今一番、あの装置に負荷をかけない方法だと分かっているんだ」


暗い水平線の向こうで、白影の輪郭が月光を浴びて静止していた。

誰かが英雄になる必要はない。

ただ、それぞれの地方が、それぞれの場所で持ちこたえる。

その生活維持の思想だけが、海風の中に厳然と存在していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ