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第417話「東京の決断」
深夜。
東京、神城勢力本部の高層階。
冷房の効いた会議室に、群馬の沈黙を伝える報告書が叩きつけられた。
「黒崎の老い損ないめ、完全にこちらの通信を無視しているな」
幹部の一人が、苦々しく言った。
「全国の白影が止まっているこの好機に、何を企んでいる」
彼らにとって、世界断面の静止は、次なる侵食段階への「溜め」の期間にしか見えなかった。
この隙に強敵を連続消費し、自らの管区の隔離装置を強制的に覚醒させなければ、次の波に飲み込まれるという恐怖が彼らを突き動かしていた。
「群馬への直接介入の準備を進めろ」
中心の男が、冷たい声で命令を下した。
「神城悠真をこちらへ連れてくる。彼が均衡者としての万能化を拒むというのなら、その力を我が本部の管理下に置くまでだ」
彼らは世界を救うという大義を信じて疑わなかった。
そのために世界を加速させ、進行順を狂わせようとしていることに、誰も気づいていない。
「自衛隊の地方部隊にも圧力をかけます」
秘書が手帳に書き込む。
窓の外では、東京を囲む巨大な壁の光が、人工の街明かりに混ざって怪しく明滅していた。
勝手に動く世界の歯車が、群馬の保つ均衡をすり潰そうと、静かに回転を始めていた。




