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第414話「蓮斗の索敵」
夕方。
拠点北方の森。
蓮斗は一人、雪の残る茂みの中に身を潜めていた。
手には古い双眼鏡を握り、検問所の向こう側の動きを監視している。
白影の歩みは止まっている。
だが、その周囲を巡る自衛隊の偵察車両の数が、ここ数日で明らかに増えていた。
「東京の連中、本当にしびれを切らしてるな」
蓮斗は息を殺した。
白い息が、手のひらの中で小さく消えていく。
彼らは強敵を連続消費し、世界を加速させることで主導権を握ろうとしている。
群馬が保っているこの「維持」の価値を、彼らは理解しようとしない。
一発逆転の勝利という幻想に、今も囚われているのだ。
パキ、と遠くで細い枝が折れる音がした。
蓮斗はすぐに双眼鏡を下ろし、腰のナイフの柄に手を当てた。
野生の獣か、あるいは東京からの密偵か。
しばらく待ったが、それ以上の音は聞こえなかった。
風が木々を揺らす音だけが、周囲の静けさを満たしていく。
「焦るな」
蓮斗は自分に言い聞かせた。
守ることの意味を大仰に語る必要はない。
ただ、この境界線から不穏な影を入れないこと。
その単純な盾としての在り方が、彼の身体に深く染み付いていた。




