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第413話「美月の配給計画」
昼。
拠点の調理場。
美月は、届いたばかりの支援物資の米袋を数えていた。
東京からの物資は、確かにこの避難区画の寿命を数週間延ばしてくれる。
だが、美月の表情に喜びの色はなかった。
彼女は、大義名分の裏にある大人の事情を、誰よりも静かに理解していた。
「美月さん、お米の保管場所はここでいいですか?」
補修班の若い男が、重い袋を担ぎながら聞いた。
「ええ、奥の湿気がない場所に並べて」
美月はノートに数を書き込んだ。
「これで、子供たちの今月分の主食は確保できたわ」
「東京も、たまには役に立つことをしますね」
「そうね」
美月は短く言った。
それ以上の感想は口にしない。
沈黙を守ることが、この不穏な均衡の中で生活を維持するための彼女の知恵だった。
悠真たちが地下で支えている世界の重さを、美月は自分の物差しで測ることはしない。
彼女にできるのは、この届いた米を計量し、明日も同じように温かい食事を提供することだけだ。
「さあ、お昼の準備を始めましょう」
美月はエプロンの紐を締め直した。
大演説もなければ、奇跡の解決もない。
ただ、鍋が沸騰する音だけが、日常の底流を確かに支えていた。




