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ダンジョンのある世界で生きる  作者: 竜太郎


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408/451

第408話「九州の防壁」

深夜。

九州管区、海岸線の外壁。


波打ち際に浮かぶ白影が、小波の影響を受けて微かに青く明滅していた。


指揮官は、双眼鏡でその光の推移を見つめていた。

拡大はしていない。

だが、世界全体が同じリズムで息をしている感覚が、彼の皮膚にも伝わってきた。


「東京が、兵力の移動を始めたようです」

副官が、暗闇の中から歩み寄って言った。

「群馬への圧力を強める構えです。我が方にも呼応を求めてきています」


指揮官は双眼鏡を下ろした。

海風が、彼の白髪を激しく揺らす。


「断れ」

短く言った。

「東京の連中は、この静けさの本質を分かっていない。世界を救おうなどという大言壮語が、どれだけこの装置に負荷をかけるか、考えたこともないのだろう」


九州勢力は、ただこの海岸線の維持に全力を注ぐ。

それが本家・黒崎恒一の示した【最後まで人間側にとどまる】という意味だった。


「海壁の補強を急げ」

指揮官が背を向ける。

「嵐が来るなら、来ればいい。俺たちはただ、ここを持ちこたえるだけだ」


暗い海原に、隔離装置の光が冷たく反射し続けていた。

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