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第406話「蓮斗の盾」
夜。
中継所の通路。
蓮斗は、暗闇の向こうに向けて懐中電灯の光を固定していた。
悠真が壁との接触を終えるまでの間、彼の仕事は周囲の安全を確保することだけだ。
地味で、誰にも知られない仕事。
だが、彼がここに立っているからこそ、悠真は安心して背中を壁に向けることができる。
「変化なし、か」
蓮斗は呟き、光の向きを少し変えた。
足元のコンクリートには、新しく発生した細かいひび割れがいくつか見られた。
深部の圧力が変わった影響が、ここにも及んでいる。
「蓮斗、終わったぞ」
悠真が奥から歩いてきた。
その顔には、記憶の洪水による疲労が色濃く滲んでいた。
「分かった。戻るぞ」
蓮斗は先頭に立ち、再び歩き出した。
「悪かったな、いつも待たせて」
「気にするな」
蓮斗は振り返らずに言った。
「お前が王にならないって言うなら、俺たちの仕事はこれだけだ。誰かが転ばないように、足元を照らす。大層な英雄譚より、俺にはこっちの方が性に合ってる」
レールの響く規則的な音が、二人の帰還の道を静かに満たしていった。




