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ダンジョンのある世界で生きる  作者: 竜太郎


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397/451

第397話「悠真の意思」

朝。

神城家の縁側。


悠真は、ポケットから昨夜の古い無線機を取り出した。


地下の壁に残してきたはずのそれと、全く同じ型の予備。

金属の冷たさが、朝の光に照らされて微かに光っていた。

次に行くときは、これを持っていく。


「悠真、また行くの?」

ぴーちゃんが、悠真の足元から見上げて聞いた。


「ああ」

悠真はぴーちゃんを抱き上げた。

「次は、もっと深くへ行く。ただ触れるだけじゃなくて、俺たちの意思を完全に装置に馴染ませるんだ」


「ぴーちゃんも行く」


「分かってる」

悠真はぴーちゃんの頭を撫でた。

「お前がいないと、向こうの『疲れ』が分からないからな」


世界規模での戦争もなければ、大演説もない。

王になることも、支配者になることも拒否した青年は、ただこの小さな家族と拠点の日常を守るために、再び地下へ降りる決意を固めていた。


侵食災害は消えない。

魔王も消えない。

だが、維持することはできる。

そのシンプルな真実が、悠真の体の中に重く、静かに沈み込んでいた。


「出発の準備をしよう」

悠真が立ち上がると、古い時計が朝の八時を告げた。

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