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ダンジョンのある世界で生きる  作者: 竜太郎


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394/451

第394話「北海道の地下列車」

深夜。

蒼月残存区域、地下深くの古い線路。


観測型の地下列車が、低い音を立ててゆっくりと走っていた。


窓の外には、暗闇の向こうに露出した隔離装置の基部が、青い光の帯となって通り過ぎていく。

北海道編において、この列車は世界異常を観測するための唯一の足だった。


蒼月レインは、列車の最前部で計器の数字を見つめていた。

変化はない。

群馬での接触による影響は、この北の最果てでも完璧に機能していた。


「夜前鐘の音が、しばらく鳴っていませんね」

運転士が前を見据えたまま言った。


「深部が呼吸を整えたからでしょう」

蒼月は静かに答えた。

「悠真たちが地下でやったことは、世界全体の肺に空気を送り込むようなものです」


しかし、それが一時的な措置であることも、蒼月は理解していた。

生活維持を積み上げる。

それが北海道編の絶対ルールだった。

列車が走ることで、かろうじて世界の一部が固定される。


「速度を維持してください」

蒼月が指示を出す。

「急ぐ必要はありません。だが、止まってはいけない」


暗いトンネルの奥へ、列車のライトが白い光を伸ばしていった。

世界はまだ壊れない。その記録が、車輪の音とともに刻まれていた。

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