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ダンジョンのある世界で生きる  作者: 竜太郎


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389/451

第389話「自衛隊の防衛線」

昼。

高崎郊外の検問所。


自衛隊の車両が、道路の脇に規則正しく並んでいた。


隊員たちは銃を肩にかけたまま、遠くの山並みを見つめていた。

そこには、侵食段階の初期に見られる「違和感」の霧が、薄く立ち込めている。

しかし、その霧は二日前から一歩もこちらへ進んできていなかった。


「本当に動かないな」

若い隊員が双眼鏡を下ろした。


「油断するな」

分隊長が厳しく嗜める。

「影の歩みが止まったからといって、世界病が治ったわけじゃない。これは嵐の前の静けさかもしれない」


彼らにとって、この静寂は不気味なものでしかなかった。

原因が分からない。

自分たちが何かを成し遂げたわけでもないのに、危機が目の前で凍りついている。


「地方政府から、神城家への物資搬入の要請が来ています」

無線兵が報告する。


「許可しろ」

分隊長は短く言った。


彼らは国家を守るためにここにいる。

だが、その国家の維持が、群馬の片田舎にいる一人の青年の行動にかかっている。

その歪な現実を、分隊長は乾いた視線で受け止めていた。

防衛線の向こうで、白影がただ静かに浮かんでいた。

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