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ダンジョンのある世界で生きる  作者: 竜太郎


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380/451

第380話「蓮斗の研磨」

夜。

拠点の倉庫。


蓮斗は一人で、古いナイフの刃を研いでいた。


砥石と鋼が擦れ合う、規則的な音が暗闇に響く。

地下での調査が終わっても、彼のやるべき仕事は変わらなかった。

周囲の警戒、足元の確認、そして仲間の盾になること。


「熱心だな」

悠真が入り口から入ってきた。


蓮斗は手を止めず、刃の角度を微調整した。

「次の降下がいつあってもいいようにだ」

短く言う。


「深部は安定しているが」


「だからこそだ」

蓮斗がようやく顔を上げた。

「静かだからって、安全になったわけじゃない。地下の瓦礫の崩れ方を見たろ。全体の圧力が変わってる。次に行くときは、もっと危険かもしれない」


悠真は近くの木箱に腰掛けた。

蓮斗のその飾らない慎重さが、どれほどチームを救ってきたかを知っていた。

守ることの意味を大仰に語らず、ただ次の事態に備えて牙を研ぐ。


「頼りにしてる」

悠真が言う。


「お前が前しか見ないからな」

蓮斗は再びナイフを砥石に当てた。

「後ろを支える奴がいないと、神城家も形無しだろ」


乾いた音が、再び倉庫の中に響き渡り始めた。

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