第37話 「観測される側」
視線を感じる。
どこからかは分からない。
でも。
確実に。
“見られている”。
「……気づいてるか」
祖父の声。
「……ああ」
白峰が頷く。
「観測されている可能性が高い」
蓮斗が顔をしかめる。
「気持ち悪ぃな」
玲奈は、何も言わない。
でも。
分かる。
同じことを感じている。
ぴーちゃんが、小さく震える。
「……やだ」
その一言で。
確信が強くなる。
これは。
気のせいじゃない。
「……どうする」
蓮斗が言う。
「止まるか?」
祖父が即答する。
「止まるな」
「止まれば終わる」
白峰が続ける。
「観測されている以上」
「行動を止めるのは不利だ」
つまり。
進むしかない。
見られていても。
評価されていても。
関係ない。
「……行く」
小さく言う。
全員が動く。
進む。
奥へ。
でも。
さっきまでとは違う。
感覚。
一歩。
踏み出すたびに。
何かが。
“見ている”。
その時。
【行動を記録】
声。
全員が止まる。
「……記録?」
白峰が呟く。
【選択を評価】
続く。
蓮斗が言う。
「おいおい」
「マジで見てんのかよ」
ぴーちゃんが、強く震える。
「……いや」
祖父が言う。
「見るだけじゃない」
「判断している」
玲奈が、低く言う。
「……こわい」
その言葉。
重い。
ただの敵じゃない。
ただのダンジョンじゃない。
この世界そのものが。
何かを見ている。
そして。
選んでいる。
「……試されてるな」
自然に出た。
白峰が頷く。
「可能性は高い」
「何をかは不明だが」
蓮斗が笑う。
「面白ぇじゃねぇか」
「だったら」
「見せてやろうぜ」
「好きにやるってよ」
祖父が、わずかに笑う。
「いい」
玲奈が、前を見る。
「……いく」
ぴーちゃんが、小さく揺れる。
「……いっしょ」
その一言で。
少しだけ、軽くなる。
俺は、前を見る。
見られている。
なら。
見せればいい。
俺たちの。
選び方を。
戦い方を。
生き方を。
全部。
隠さずに。
その上で。
進む。
止まらない。
それが。
答えだ。
足を踏み出す。
奥へ。
さらに。
深く。
この世界の。
核心へ。
観測されているなら、見せてやる。
俺たちの“選択”を。
その先に。
何があるのか。
まだ分からない。
でも。
進む。
それだけは。
決まっている。




