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第36話 「世界の声」



 静かだった。


 でも。


 さっきまでとは違う静けさ。


 張りつめている。


 因子。


 光っている。


 でも。


 触れない。


「……どうする」


 蓮斗が、低く言う。


 誰も、すぐには答えない。


 白峰が言う。


「まず整理する」


「……ああ」


「“報酬ではない”」


「“回収”」


「そして」


「“対象指定”」


 一つずつ。


 言葉にする。


 理解するために。


「……これ」


「俺たちが戦ってる理由」


「違うかもしれないな」


 蓮斗が言う。


 その一言。


 全員が、少しだけ沈黙する。


 祖父が言う。


「最初からだ」


「……は?」


「理由なんて、知らん」


 当たり前のこと。


 でも。


 今は、重い。


 ぴーちゃんが、小さく震える。


「……あれ」


「……なに?」


 玲奈が聞く。


 ぴーちゃんが、少しだけ迷う。


「……しらない」


「でも」


「……こわい」


 その一言。


 強かった。


 理由は分からない。


 でも。


 拒絶している。


 俺は、目を閉じる。


 思い返す。


 最初。


 あの声。


【初回ボーナスを付与します】


 あの時も。


 聞こえていた。


 ずっと。


 最初から。


「……同じだな」


 自然に口に出る。


「何がだ」


「最初から」


「この声は、あった」


 白峰が頷く。


「確かに」


「初回ボーナス時にも確認している」


 蓮斗が言う。


「でもよ」


「あの時は普通だったろ?」


「……ああ」


 でも。


 今は違う。


 ズレている。


 遅れる。


 言葉が、変わる。


「……変化している」


 白峰が言う。


「適応しているのは、敵だけじゃない」


「システム自体が変わっている可能性がある」


 祖父が、低く言う。


「つまり?」


「……敵と同じだ」


 全員が止まる。


 影。


 適応する存在。


 そして。


 この“声”。


「……同じ?」


「可能性だ」


 白峰が続ける。


「観測」


「分析」


「適応」


「構造が一致している」


 ぴーちゃんが、強く震える。


「……だめ」


「……それ」


「……ちかい」


 その一言で。


 確信が強くなる。


 これは。


 ただの“システム”じゃない。


 もっと。


 近い。


 “存在”だ。


 蓮斗が言う。


「じゃあ何だよ」


「これ」


 誰も答えない。


 分からない。


 でも。


 分かることが一つ。


 これは。


 味方じゃない。


 完全な敵でもない。


 でも。


 安全じゃない。


 その時。


【対象を再評価します】


 全員が、固まる。


 白峰が、低く言う。


「……観測されている」


 祖父が言う。


「当然だ」


 ぴーちゃんが、震える。


「……みてる」


 その一言。


 背筋が冷える。


 俺たちは。


 見られている。


 戦い。


 選択。


 全部。


 そして。


 評価されている。


 その意味。


 まだ分からない。


 でも。


 確実に。


 関係している。


 この世界の。


 全部に。


 俺は、前を見る。


 進むしかない。


 止まれない。


 でも。


 知らなきゃいけない。


 この声の正体を。


 そのために。


 進む。


 さらに奥へ。


 この世界の。


 核心へ。


 世界の声は、ただの声じゃない。


 それは、“何か”だ。


 その正体に。


 近づき始めていた。



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