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第35話 「報酬の意味」


 静かだった。


 二体。


 止まったまま、動かない。


 勝った。


 完全じゃない。


 でも。


 崩した。


「……終わり、か」


 蓮斗が息を吐く。


「……ああ」


 白峰が頷く。


「戦闘は終了だ」


 祖父が、周囲を見る。


「気を抜くな」


「分かってるって」


 でも。


 全員、少しだけ力が抜けていた。


 その時。


 床。


 光。


「……多いな」


 因子。


 今までよりも、明らかに多い。


「……これ全部か?」


 蓮斗が言う。


「強敵ほど報酬が多い」


 白峰が分析する。


「仮説は当たっている」


 玲奈が、静かに見る。


「……多い」


 ぴーちゃんが、震える。


「……いや」


 その反応。


 今までより、強い。


「……どうした」


「……だめ」


 はっきりとした拒絶。


 祖父が、低く言う。


「触るな」


 全員が止まる。


 俺も。


 手を止める。


 因子。


 光っている。


 でも。


 どこか。


 “変だ”。


「……白峰」


「何だ」


「これ」


「……ただの報酬じゃない」


 白峰が、少しだけ目を細める。


「……同意する」


「情報量が多すぎる」


「スキルの欠片では説明できない」


 蓮斗が言う。


「でもよ」


「強くなるんだろ?」


「……多分な」


「じゃあいいじゃねぇか」


 その言葉。


 正しい。


 でも。


「……違う」


 玲奈が言う。


「……これ」


「“もらってる”感じじゃない」


「……は?」


「……取ってる」


 静かな言葉。


 でも。


 妙に、しっくりきた。


 もらっている。


 報酬。


 そう思っていた。


 でも。


 違う。


 これは。


 奪っている。


「……なるほど」


 白峰が言う。


「構造が逆だ」


「報酬ではない」


「回収だ」


 祖父が、低く言う。


「何をだ」


 誰も答えられない。


 でも。


 分かる。


 これは。


 ただの“強化”じゃない。


 何かを。


 奪っている。


 その時。


 声が、響く。


【回収を確認】


 全員が止まる。


 今までと違う。


 明確な言葉。


「……回収?」


 白峰が、低く呟く。


【次の対象を指定します】


 ぴーちゃんが、強く震える。


「……やだ」


 その声。


 はっきりとした恐怖。


 祖父が言う。


「離れろ」


 即座に距離を取る。


 因子。


 光が、少しだけ強くなる。


 まるで。


 “動いている”みたいに。


「……なんだ、これ」


 蓮斗が言う。


 誰も答えられない。


 でも。


 確実に分かる。


 これは。


 俺たちが思っていたものじゃない。


 ダンジョン。


 スキル。


 戦い。


 全部。


 繋がっている。


 でも。


 その“目的”が。


 分からない。


 俺は、因子を見る。


 使えば。


 強くなる。


 でも。


 その代わりに。


 何を失う?


 まだ、分からない。


 でも。


 確実にある。


 何かが。


 それでも。


 進むしかない。


 選ぶしかない。


 この世界で。


 生きるために。


 報酬じゃない。


 これは、回収だ。


 その意味を。


 俺たちは、まだ知らない。



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