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第346話「恒一と美月」
夕方。
拠点地上部。
黒崎恒一は管理の仕事を続けながら、四人が地下に降りたことを知っていた。止めなかった。止める立場にない。それより、地上が安定していることの方が自分の仕事だった。
美月が来る。
「恒一さん」
静かな声。
「悠真たち、まだ戻りませんね」
恒一が頷く。
「時間がかかるだろう。地下は広い」
短く言う。
美月が窓を見る。白影はまだある。東側が昨日より大きくなっている。
「怖くないんですか」
美月が聞く。
恒一が少し考える。
「怖い」
正直に答える。
「だが怖いのは当たり前だ。怖くても仕事は続く。それだけのことだ」
美月は恒一の言葉を聞く。この人は言葉が少ない。だが、その少ない言葉が毎回重い。
「私、何かできることありますか」
美月が聞く。
恒一が頷く。
「子どもたちの食事の時間、少し早めてくれ。夜になる前に動かしておきたい」
短く言う。
美月が頷く。
「分かりました」
短く答える。
恒一は数字に戻る。外では白影が静かに広がっていた。




