345/451
第345話「深部の音、近づく」
夕方。
地下ホームから先へ進んで十分ほどのところで、音が変わった。
昨夜、外壁の見張りが記録した低い音。それがここでは床から直接伝わってくる。振動に近い。音というより感触だった。レール越しに伝わってくる何かが、今日は明らかに昨日より強くなっていた。
玲奈が足を止める。目を閉じる。しばらく動かない。
「……動いてる」
小さい声。
「深部が。一定のリズムで動いてる」
白峰蓮が記録紙に書く。時刻。場所。玲奈の言葉。全部記録する。
蓮斗が足元を見る。
「レールが振動してる。列車が来るわけじゃないが、何かが動いてるのは確かだ」
短く言う。
悠真は前を見る。トンネルが続いている。懐中電灯の光が届く範囲には何もない。だが、その先に何かがある。
玲奈が続ける。
「さっき感じた呼吸のリズムと一致してる。深部が動くたびに、この振動も動く」
つまり、深部の動きがここまで伝わってきている。
地下は深部と直接繋がっていた。
蓮斗が悠真を見る。
「進むか」
短く聞く。
悠真が頷く。懐中電灯の光が先へ向かう。




