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ダンジョンのある世界で生きる  作者: 竜太郎


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344/451

第344話「地下の空気」

午後。

地下列車のホーム。


懐中電灯に照らされたプラットフォームは、時間が止まったような場所だった。ベンチがある。案内板がある。発車時刻表がまだ貼られている。ただ、全部が薄く埃をかぶっていた。侵食が始まる前の、普通の日常がそのまま固まっていた。


白峰蓮が記録紙を取り出す。

「観測所まで直線で約二十キロ。途中に三つの分岐がある。地図は古いから実際に使えるかは降りてみないと分からない」

静かな声で確認する。


蓮斗がホームの端まで歩く。線路を見る。錆びているが、形は保たれている。

「列車は動かなくてもレールを歩けるな」

短く言う。


悠真が周囲を見る。侵食の痕跡はここにはない。外壁の外とは別の世界だった。


その時。玲奈が静かに言う。

「ここ、守られてる」

目を閉じたまま。

「何かに、意図的に」


悠真が止まる。

意図的に守られている地下。それが何を意味するか、まだ分からない。だが。


この場所には来るべき理由があったのかもしれない。

そう思いながら、悠真は先のトンネルを見た。

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