340/451
第340話「地下への入口」
昼前。
拠点の地下区画。
白峰蓮が案内する形で、悠真と蓮斗の三人が古い扉の前に立っていた。
鉄製の扉だった。錆びているが、構造は生きている。蓮が記録紙を確認する。
「蒼月の記録によれば、この先に旧地下列車のホームがある。侵食が広がる前は、この路線で深部観測所まで繋がってた」
静かな声。
蓮斗が扉を拳で叩く。鈍い音。
「頑丈だな」
短く言う。
悠真が扉に手を当てる。冷たい。地下特有の冷たさとは違う、何か別のものが混じっている気がした。
ぴーちゃんが肩の上で言う。
「下から来てる」
小さい声。
「音じゃなくて、何か別のもの」
地上で待ち続けることの限界は見えていた。だが、地下に降りることがどういう意味を持つか、まだ分からない部分もある。それでも、脚は動く方向を知っていた。
蓮斗が扉の取っ手を握る。
「開けるか」
短く聞く。
悠真が頷く。
「開ける」
静かな声。
地下の空気が、扉の隙間からゆっくりと漏れてくる。




