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ダンジョンのある世界で生きる  作者: 竜太郎


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第329話「美月の見たもの」

昼。


避難区画。


美月は子どもたちの様子を見ていた。


今日も走っている。


笑っている。


変わらない。


だが。


美月は気づいていた。


子どもたちの遊び場所が変わっている。


以前は外壁に近い場所で遊んでいた。


今は区画の中心寄りになっている。


誰かに言われたわけではない。


子どもたちが自然にそうなっていた。


子どもは敏感だ。


空気を読む。


大人が言葉にしないものを感じ取る。


美月はそれが少し切なかった。


その時。


小さな男の子が走ってくる。


「美月お姉ちゃん」


元気な声。


「今日のごはん何」


美月は笑う。


「スープだよ」


短く答える。


男の子が少し考える。


「また?」


美月が笑う。


「また」


短く。


男の子も笑う。


走って戻っていく。


その背中を見ながら。


美月は思う。


この笑い声が続く限り。


ここはまだ大丈夫だ。


(次話へ)

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