328/451
第328話「地下列車の記録」
昼前。
拠点地下。
古い記録室。
白峰蓮は一人でいた。
棚に並ぶ記録紙。
この区域が始まった頃からの記録。
全部残っている。
蒼月の人たちが積み上げてきたもの。
蓮はそれを読んでいた。
一枚ずつ。
丁寧に。
その時。
一枚の記録が目に留まる。
地下列車。
この区域の地下に。
かつて列車が走っていた記録。
侵食が広がる前の話だった。
列車は今も地下にある。
動かないが。
線路は残っている。
蓮は少し考える。
もし深部への直接アクセスが必要になった時。
地下列車が使えるかもしれない。
まだ仮説だ。
だが。
可能性として頭に入れておく。
それが蓮の仕事だった。
記録を閉じる。
また別の記録を開く。
地下では。
今日も積み重なった紙が。
静かに語りかけていた。
(次話へ)




