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第326話「夜の静けさの中で」
夜。
配給区画。
灯り。
スープ。
湯気。
人々が集まっていた。
今日も。
生活は続いていた。
だが。
今夜は少し静かだった。
老人の話はいつも通り続いている。
子どもたちも笑っている。
補修班も食べている。
だが。
何かが違った。
外が静かすぎる。
風もない。
鐘も鳴らない。
その静けさが。
逆に重かった。
美月が窓を見る。
北の空に白影が見える。
暗い中でも分かる。
白く。
静かに。
そこにある。
その時。
小さな女の子が美月の袖を引く。
「ねえ」
小さい声。
「あれ何」
美月は少し考える。
正直に言うべきか。
だが。
答えは決まっていた。
「見張りだよ」
静かな声。
「こっちの」
女の子が窓を見る。
しばらく考えて。
「そっか」
短く言う。
そして。
また老人の話の輪へ戻っていった。
灯りは続いている。
笑い声も続いている。
北海道は今夜も。
静かにここにあった。
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