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ダンジョンのある世界で生きる  作者: 竜太郎


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323/451

第323話「白影の朝」

朝。


蒼月残存区域。


風が止まっていた。


珍しかった。


この区域で風が止まることは滅多にない。


補修班が気づく。


見張り班も気づく。


子どもたちも外を見る。


いつもと違う。


そう感じていた。


悠真は外壁の上にいた。


北を見る。


影。


今日もいる。


だが。


今日は違った。


白い。


遠くに白い靄のようなものが漂っている。


白峰蓮が双眼鏡を向ける。


長い沈黙。


そして。


「白影だ」


静かな声。


初めて聞く言葉だった。


「前に記録にあった」


短く続ける。


「深部反応が臨界に近づいた時に出る」


悠真が北を見る。


白い靄は動かない。


ただそこにある。


玲奈が目を閉じる。


風が戻ってくる。


ゆっくり。


冷たい風。


そして。


「……始まる」


小さい声。


誰も聞き返さなかった。


その言葉の意味は。


皆なんとなく分かっていた。


(次話へ)

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