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第320話「恒一の仕事」
昼前。
拠点内部。
黒崎恒一は今日も管理をしていた。
燃料の残量。
食料の消費ペース。
医療物資の在庫。
数字を見る。
確認する。
次の手を考える。
それだけだった。
派手な仕事ではない。
戦わない。
指揮もしない。
ただ。
数字と向き合い続ける。
その時。
担当者が来る。
「恒一さん」
短く。
「燃料、予定より早く減ってます」
静かな声。
恒一は数字を見る。
少し考える。
「暖房の使用時間を二時間削れるか」
短く聞く。
担当者が頷く。
「子どもたちの区画だけ残します」
恒一も頷く。
それだけだった。
大きな決断ではない。
だが。
こういう小さな判断が積み重なって。
拠点は続いていた。
その時。
外で鐘が鳴る。
カァン。
一回。
恒一は窓を見る。
北の空。
何かが変わっている気がした。
だが。
今は数字に戻る。
それが恒一の仕事だった。
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