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ダンジョンのある世界で生きる  作者: 竜太郎


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第315話「均衡の重さ」

朝。


蒼月残存区域。


風が吹いていた。


外壁布が揺れる。


雪煙が流れる。


補修班が動く。


配給班が準備する。


いつもの朝。


そう見えた。


だが悠真は外壁の上から北を見ながら、その「いつも通り」がひどく嘘くさく感じていた。


玲奈が昨夜言った言葉が頭から離れない。


一つが全部取り込んだ。


白峰蓮が三か月かけて積み上げた記録紙も、同じことを数字で語っていた。


侵食は広がらない。増えない。ただ一点へ向かって沈んでいく。


悠真は双眼鏡を北へ向ける。


影は今日もいる。


遠い。


しかし以前とは明らかに違う存在感があった。


ただ立っているのではなく、何かを待っている。


その感覚が、今日は悠真にもはっきりと伝わってきた。


均衡者として動くべき時が近づいている。


そのことだけは、理屈より先に体が知っていた。


(次話へ)

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