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第309話「一つ」
午後。
外壁上。
観測班。
双眼鏡。
風。
白い息。
北。
影。
今日もいる。
その時。
玲奈が突然目を開く。
珍しかった。
いつもは目を閉じて感じる。
だが。
今日は違った。
悠真が見る。
玲奈は北を見ている。
じっと。
動かない。
そして。
小さく言う。
「……一つ」
昨日と同じ言葉。
だが。
今日は続きがあった。
「いっぱいじゃない」
短く。
「全部」
沈黙。
誰も意味が分からない。
玲奈はさらに続ける。
「全部そこ」
小さい声。
風が吹く。
白峰 蓮が記録を見る。
侵食。
異常反応。
深部活動。
全部。
中心へ寄っている。
もし玲奈の感覚が正しいなら。
今まで北海道全域で起きていた異常は。
一か所へ集まっていることになる。
悠真は北を見る。
影。
遠い。
だが。
以前より。
はるかに存在感があった。
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