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ダンジョンのある世界で生きる  作者: 竜太郎


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第307話「静かな異常」

朝。


蒼月残存区域。


風が吹いていた。


外壁布が揺れる。


雪煙が流れる。


いつもの朝。


そう見えた。


補修班は動いている。


配給班も準備している。


子どもたちも水を運んでいる。


生活は続いていた。


だが。


観測班だけは違った。


白峰 蓮が記録紙を見ている。


何度も。


何度も。


同じ場所を確認していた。


その時。


悠真が声を掛ける。


「どうした」


短く。


蓮は少し考える。


そして答えた。


「静かすぎる」


小さい声。


悠真は北を見る。


影。


今日もいる。


近づいている。


なのに。


侵食増加は鈍い。


反応は圧縮されている。


まるで。


嵐の目だった。


その時。


玲奈が目を閉じる。


長い沈黙。


風だけが吹く。


そして。


「……集まってる」


小さい声。


「まだ」


続ける。


「終わってない」


誰も返事をしなかった。


その言葉だけが。


妙に重かった。


(次話へ)


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