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第306話「夜の食卓」
夜。
配給区画。
白い灯り。
温かいスープ。
湯気。
人々が集まっている。
今日も。
生活は続いていた。
老人が子どもへ昔話をする。
補修班が遅い夕食を取る。
見張り班が交代前に食事をする。
ぴーちゃんが薬を配る。
美月が毛布を畳む。
いつもの光景だった。
その時。
小さな女の子が聞く。
「影ってお腹空くのかな」
突然の質問。
周囲が少し止まる。
老人が困る。
補修班が笑う。
ぴーちゃんも少し吹き出す。
しばらく考えて。
老人が答える。
「どうだろうな」
短く。
「でも飯は一緒に食えそうにないな」
その言葉で。
小さな笑いが広がる。
ほんの少し。
でも。
確かな笑いだった。
その時。
遠く。
カァン。
鐘。
一回。
長い音。
皆が少し止まる。
だが。
すぐに戻る。
食べる。
話す。
笑う。
生きる。
外では。
何かが近づいている。
だが。
この灯りも残っている。
この生活も残っている。
だから。
北海道は今日も続いていた。
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