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第304話「暖房当番」
昼前。
避難区画。
暖房設備の点検日だった。
大型設備ではない。
寄せ集め。
修理の繰り返し。
それでも。
北海道にとっては命綱だった。
補修班が確認している。
燃料。
配管。
送風機。
一つずつ。
丁寧に。
その時。
子どもたちも手伝っていた。
工具を運ぶ。
部品を渡す。
小さな仕事。
でも。
立派な仕事だった。
その中の一人。
先日毛布を落とした男の子が。
真剣な顔で工具箱を抱えている。
重い。
でも。
落とさない。
補修員が笑う。
「成長したな」
男の子が少し照れる。
周囲も少し笑う。
その時。
暖房が動く。
温かい風。
避難区画に広がる。
歓声。
小さい。
でも確かな歓声だった。
誰かが言う。
「助かった」
誰かが笑う。
大きな戦果ではない。
だが。
こういう積み重ねが。
人を生かしていた。
美月はその様子を見ながら。
少しだけ笑った。
守るべきものは。
ちゃんとここにあった。
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