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第303話「変わらない朝」
朝。
蒼月残存区域。
風が吹いていた。
外壁布が揺れる。
雪煙が流れる。
補修班の工具音も聞こえる。
いつもの朝だった。
だが。
観測班だけは違った。
昨日の玲奈の言葉。
「来るためじゃない」
「集まるため」
その意味が頭から離れない。
その時。
悠真が外壁へ上がる。
白い息。
北を見る。
影。
今日もいる。
遠い。
だが。
以前よりはっきり見える。
それだけで十分異常だった。
白峰 蓮が記録紙を確認する。
「深部反応変化なし」
短く。
「圧縮継続」
続ける。
誰も喋らない。
増えていない。
減ってもいない。
だが。
安心感はなかった。
むしろ逆だった。
玲奈が目を閉じる。
長い沈黙。
風が吹く。
やがて。
小さく言う。
「……重い」
短い声。
「増えてない」
続く。
「でも重い」
誰も返事をしなかった。
その感覚は。
何となく皆も感じていた。
空気そのものが。
少しずつ重くなっているようだった。
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