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第299話「朝の点呼」
朝。
蒼月残存区域。
風が吹いていた。
外壁布が揺れる。
雪煙が流れる。
いつもの朝。
そう見えた。
だが。
皆。
北の存在を知っていた。
影。
今日もいる。
遠い。
だが。
確実に近づいている。
その事実だけが。
空気の底に沈んでいた。
その時。
見張り班の点呼が始まる。
名前を呼ぶ。
返事が返る。
短い。
当たり前の作業。
だが。
誰も手を抜かない。
当たり前を続ける。
それが北海道だった。
悠真も外壁へ上がる。
白い息。
北を見る。
影。
今日も見える。
昨日より近い気がする。
だが。
確信はない。
その時。
白峰 蓮が記録紙を見る。
「反応変化なし」
短く。
皆が少し止まる。
久しぶりだった。
増加ではない。
減少でもない。
変化なし。
玲奈が目を閉じる。
長い沈黙。
そして。
「……集まってる」
小さい声。
昨日と同じ。
だが。
今日は少し強かった。
広がっていない。
集まっている。
その違和感が。
観測班の頭に残り続けていた。
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