299/451
第297話「観測班の違和感」
午後。
外壁上。
観測班。
双眼鏡。
風。
白い息。
北。
全員が見ていた。
影。
今日もいる。
ゆっくり。
こちらへ向かっている。
だが。
その時だった。
雪那が眉を寄せる。
「変だな」
小さい声。
悠真が見る。
「何がだ」
短く。
雪那は少し考える。
そして北を見る。
「近づいてるのに」
静かな声。
「侵食反応の増え方がおかしい」
沈黙。
白峰 蓮が記録紙を確認する。
過去記録。
現在記録。
比較する。
そして。
少しだけ眉を寄せた。
確かに変だった。
増えている。
だが。
予測より少ない。
玲奈も目を閉じる。
長い沈黙。
やがて。
小さく言う。
「……集まってる」
皆が見る。
玲奈は続ける。
「広がってない」
短く。
その言葉。
悠真は北を見る。
今まで。
侵食は広がるものだった。
だが。
もし集まっているなら。
話が変わる。
風が吹く。
誰も喋らない。
観測班の記録に。
新しい疑問が増えた。
(次話へ)




