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第295話「変わらない仕事」
朝。
蒼月残存区域。
風が吹いていた。
外壁布が揺れる。
雪煙が流れる。
北の影は。
今日もそこにいた。
遠い。
だが。
見える。
それがもう異常だった。
普通なら。
見えない距離のはずだった。
それでも。
誰も影を見続けてはいなかった。
見る時間より。
やるべきことの方が多いからだ。
補修班は工具を持つ。
配給班は食料を確認する。
診療区画ではぴーちゃんが薬を数える。
子どもたちは水を運ぶ。
北海道は。
今日も動いていた。
その時。
黒崎恒一が配給倉庫へ入る。
保存食。
乾燥肉。
缶詰。
少しずつ確認する。
担当者が言う。
「まだ余裕あります」
短く。
恒一は頷く。
だが。
確認は続ける。
余裕がある時に確認する。
余裕がなくなってからでは遅い。
それを知っていた。
その時。
外で子どもたちの笑い声が聞こえる。
恒一は少しだけ笑った。
まだ。
残っている。
そう思った。
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