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第294話「夜の確認」
夜。
診療区画。
灯り。
白い。
暖房の音。
小さい。
ぴーちゃんは今日の記録をまとめていた。
熱。
疲労。
睡眠不足。
侵食消耗。
数字は良くない。
だが。
崩壊していない。
維持できている。
それが大切だった。
その時。
美月が入ってくる。
温かい湯を持っていた。
ぴーちゃんへ渡す。
「休んでる?」
静かな声。
ぴーちゃんが苦笑する。
「たぶん」
短く。
美月も少し笑う。
二人で窓を見る。
外。
風。
雪。
暗闇。
そして。
北。
見えない。
だが。
確かにいる。
その時。
遠く。
カァン。
鐘。
一回。
長い音。
二人は黙る。
聞き慣れたはずの音。
でも。
慣れない。
慣れたくない。
その後。
美月が小さく言う。
「守ろうね」
静かな声。
ぴーちゃんが頷く。
短く。
確かに。
世界全部じゃない。
まずはここ。
この灯り。
この人たち。
この生活。
それを守る。
それが今の北海道だった。
長い夜は続く。
だが。
灯りもまだ消えてはいなかった。
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