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第287話「近づく日常」
朝。
蒼月残存区域。
風が吹いていた。
以前なら。
ただの朝だった。
だが。
今は違う。
皆。
知っている。
北の影が近づいていることを。
それでも。
朝は来る。
配給班は鍋を準備する。
補修班は工具を持つ。
診療区画ではぴーちゃんが薬を確認する。
生活は止まらない。
止められない。
その時。
悠真が外壁へ上がる。
白い息。
北を見る。
影。
今日もいる。
遠い。
だが。
以前より大きい。
以前よりはっきり見える。
それだけで十分だった。
白峰 蓮が記録紙を開く。
「移動継続」
短く。
「反応上昇継続」
続ける。
誰も驚かない。
もう。
皆。
理解している。
問題は来るかどうかじゃない。
いつ来るかだった。
その時。
玲奈が目を閉じる。
少し長い沈黙。
そして。
「……近い」
小さい声。
風が吹く。
誰も喋らない。
ただ。
北を見続けた。
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