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第288話「診療区画」
昼前。
診療区画。
白い灯り。
暖房。
薬品の匂い。
ぴーちゃんが記録を整理していた。
熱。
疲労。
睡眠不足。
侵食消耗。
数字だけ見れば。
厳しい。
だが。
崩壊ではない。
維持できている。
その事実が大きかった。
その時。
老人が椅子へ座る。
毛布。
白い息。
「眠れた?」
ぴーちゃんが聞く。
老人は少し考える。
「三時間」
短く。
ぴーちゃんが苦笑する。
「前より長い」
老人も少し笑う。
「慣れたくねぇけどな」
掠れた声。
近くでは子どもが眠っていた。
静かな寝息。
その光景を見て。
老人がぽつりと言う。
「守られてるな」
小さい声。
ぴーちゃんは首を振る。
「みんなで守ってる」
静かな声。
老人は少し黙る。
そして。
小さく頷いた。
外では。
風が鳴っている。
だが。
診療区画の灯りは消えなかった。
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