286/451
第284話「補修班」
昼前。
外壁補修区画。
工具音。
カン。
カン。
金属音が響く。
補修班は今日も動いていた。
侵食。
雪。
風。
外壁は常に傷む。
だから。
直し続ける。
終わらない仕事だった。
若い補修員が言う。
「いつ来るんですかね」
掠れた声。
誰に向けたわけでもない。
年配の補修員が工具を動かしたまま答える。
「来る時は来る」
短く。
若い補修員が苦笑する。
「答えになってませんよ」
年配の補修員も少し笑う。
「俺たちの仕事は当てることじゃない」
工具を置く。
外壁を叩く。
確認する。
「来ても残るようにすることだ」
静かな声。
若い補修員は黙る。
そして。
少しだけ頷いた。
その時。
風が吹く。
外壁布が鳴る。
遠く。
北。
見えない。
だが。
何かが近づいている。
それでも。
工具音は止まらなかった。
北海道は。
維持され続けていた。
(次話へ)




